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米国税制改革の大統領署名、1月初旬に延期の可能性

US tax alert 2017年12月22日号

2017年12月20日に両院で可決され、成立が確実となった米国税制改革法ですが、ここに来て大統領の署名をあえて1月頭に延期するという戦略が検討されています。会計原則上、大統領の署名をもって正式に法案成立と扱われ、そのタイミングを含む四半期で新税法の影響を取り込む必要が生じることから、12月末又は1月明けに署名されるかにより、12月で終了する会計期間に係る財務諸表へのインパクトが異なります。

署名延期の可能性は、米国の財政赤字増加抑制目的で規定されている「2010年Pay-as-you-go」法(略して「PAYGO」)という財政法に基づき、減税等を含む歳入減や新たな歳出を法制化する際には、義務的経費を削減又は増税を行い、同額の財源確保をすべきという規定の適用タイミングに基づき検討されているものです。PAYGO規定に基づきますと、仮に12月中に米国税制改革法が署名され法律として成立する場合、同法案により増額する財政赤字額に関して、即刻、義務的経費の削減が求められ、Medicareの支払いなどに支障が出る一方、署名を1月明けとすると同経費削減を2019年に先送りできるというメリットがあります。

ただし、PAYGOには免除規定があり、議会が税制改革法に関してPAYGO適用免除を可決すれば経費削減をトリガーすることなく大統領による署名が12月中でも可能となります。しかし、PAYGO適用免除は通常の法案可決の手続き、すなわち上院60票の賛成が必要となるため、2017年残りわずかの開会日程内にPAYGO適用免除を可決できるかどうかは現段階では不明確です。また、連邦憲法上の要件で、法案が大統領府に届いてから10日(日曜日を除く)以内に大統領が署名をせず、さらにその間に議会が散会してしまった場合、実質拒否権が発動された扱いとなるという要件も加味すると、遅くとも1月早々には署名されるものと考えられます。なお、署名が12月でも1月でも税法上の扱いには影響はありません。

12月の財務諸表に対する影響が大きいことから、大統領署名のタイミングが明らかになり次第、最新情報を共有いたします。


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