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米国税制改革アップデート 税制改革上院案、下院修正案

US tax alert 2017年11月13日号

2017年11月9日、上院財政委員会は税制改革上院案の「説明文書(Joint Committee on Taxation, Description of the Chairman's Mark of the "Tax Cuts and Jobs Act"(JCX-51-17))」を公表しました。一方、下院歳入委員会は、委員会によるさらなる修正を経て法案を委員会レベルで通過させ、下院審議は本会議に移ります。下院歳入委員会を通過した下院案は、最初の修正で軽減されるかのように見えた20%ペナルティー課税が、一部元の規定に戻るなど予断を許さない状況です。今後の修正や審議に基づく動向はかなり流動的ですが、現時点で日本企業の関心が高いと思われる項目に関する概要を以下に解説します。

下院案(委員会修正)

  • 米国外関連法人への特定支出に対する20%ペナルティー課税の代わりに選択する外国法人によるみなしPE課税の算定法変更
    • みなし経費の増額(104% + 短期AFR(Applicable Federal Rate: アメリカ合衆国内国歳入庁制定利率))取下げ
    • 外国税額控除の算定法変更
  • 未配当原資累積額(2017年11月2日又は12月31日時点どちらか大きな額)に対する一括課税税率14%(事業資産に再投資しているケースは7%)

上院案(上院財政委員会説明文書)

法人税及び事業活動に対する課税連結財務諸表を作成している多国籍企業グループ

  • 個人オーナーが自営業・パススルー主体経由で認識する事業所得(人的役務に基づく事業は対象外)の17.4%を非課税処理(下院案は25%課税)
  • 2019年から法人税率20%(下院案は2018年から)
  • AMT(Alternative Minimum Tax:代替ミニマム税)撤廃
  • DISC(Domestic International Sales Corporation: 内国国際販売法人)及びIC-DISC(Interest-Charge Domestic International Sales Corporation:利子課税内国国際販売法人)撤廃
  • 2017年9月28日から2022年末までに取得される動産事業資産の100%初年度償却
    • 既存のボーナス償却対象資産に適用(公共ユーティリティ用途資産を除く)
  • 2018年及び以降の課税年度に発生するNOL(Net Operating Loss: 繰越欠損金)繰越期限廃止・繰戻撤廃
    • NOL使用額は繰越年度の課税所得90%上限
  • 米国製造者控除(Section 199)撤廃
  • ネット支払利息損金算入制限
    • Adjusted Taxable Income(利息前の課税所得)の30%を超えるネット支払利息損金不算入(下院案ではEBITDAベース)
    • 損金不算入額は永久繰越可(下院案は5年繰延)
  • 米国多国籍企業グループのネット支払利息を全世界Debt/Equityレシオに基づき損金算入制限(下院案は米国外に親会社がある多国籍企業グループにも制限適用)

国際課税

  • 海外子会社(10%以上投資先)からの配当非課税(テリトリアル課税制度)
    • 制度移行時に未配当原資累積額に一括課税
  • 多国籍企業グループに「Base Erosion Minimum Tax」(下院案は20%ペナルティー課税又はみなしPE課税)
  • 50%超の資本関係に基づくグループに適用
  • 「Base Erosion Payment」に基づく「Base Erosion Tax Benefit」を算定
    • Base Erosion Paymentは米国法人が米国外関連会社に行う費用項目、資産取得支出、売上原価に関しては法文を確認するまで不明
    • 30%源泉税対象となる支出は対象外(条約で源泉税が低減されている場合には低減相当分額が特定支出扱い)
  • 「Base Erosion Tax Benefit」を加算修正した「修正課税所得」を算定
  • 修正課税所得に10%乗じた金額が通常の税額を超える金額が「Base Erosion Minimum Tax」

個人所得税

  • 現状の7税率区分を10、12、22.5、25、32.5、35及び38.5%の7区分に再編(下院案では12%、25%、35%、39.6%の4区分に簡素化)
  • キャピタルゲイン及び適格配当の低税率はそのまま
  • 標準控除額を独身申告12,000米ドル、夫婦合算申告24,000米ドルと倍増
  • 住宅ローン金利個別控除を1億米ドル新規取得コストまで認める現状維持(下院案は50万米ドル新規取得コストに対するものに限定)
  • 不動産・動産税個別控除撤廃(下院案は10,000米ドルを上限に温存)
  • 慈善団体への寄付金個別控除温存
  • 人的控除撤廃
  • 子女税額控除を一人当たり1,650米ドルに増額(下院案は1,600米ドル)
  • AMT撤廃
  • 非適格繰延報酬の権利確定時課税

遺産税・Generation Skipping Transfer Tax

  • 非課税枠を増額しながら存続(下院案では6年後に撤廃)

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