EY税理士法人
ライブラリー

BEPS update
~OECD、インド、英国、オーストラリア、シンガポール、米国~

Japan tax alert 2018年5月14日号

OECD

2018年4月9日、OECDは、移転価格に関する国別プロフィール(Transfer Pricing Country Profiles、以下「TPCP」)の更新版を公表し、新たに14カ国の現行の移転価格法制及び慣行を掲載しました(オーストラリア、中国、エストニア、フランス、ジョージア、ハンガリー、インド、イスラエル、リヒテンシュタイン、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、ウルグアイ)。また、ベルギー及びロシア連邦に関する情報も更新されました。TPCPは、各国がアンケートに回答する方法で作成され、主要な移転価格上の問題に対処するための国内法制上の措置に重点が置かれています。具体的には、移転価格算定方法、独立企業原則、移転価格文書化、比較可能性分析、無形資産、グループ内役務提供、費用分担契約、紛争の回避及び解決のための税務執行上のアプローチ、セーフハーバー及びその他の実施措置が取り上げられています。TPCPはまた、各国の国内法令整備状況をOECD移転価格ガイドラインと比較し、各国がどの程度OECD移転価格ガイドラインを取り入れているかを示しています。残り9カ国のTPCPは、まもなく発表される予定です(アルゼンチン、チリ、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、イタリア、韓国、南アフリカ、トルコ)。

オーストラリア

2018年3月26日、オーストラリア税務当局(ATO)は、仮想通貨に係る納税義務を遵守する際に生じる実務的な問題を把握するため、パブリックコンサルテーションを開始しました。今回のコンサルテーションでは、仮想通貨取引に関する記録管理と異なる仮想通貨間の交換に関するコメントを募集し、提出期限は2018年4月20日でした。コンサルテーションの開始に先立ち、ATOは2018年3月16日に、ウェブサイトに掲載している仮想通貨ガイダンスを更新しています。

インド

2018年4月14日、インド税務当局は、インドにおけるプライベートタックスルーリングに係る規則及び様式の修正案について、コメントを募集するプレスリリースを発表しました。背景として、OECDのBEPS行動計画5における優先分野の中に、恒久的施設に関するルーリング等、特定のルーリングに関する情報の強制的かつ自発的な交換の枠組みを利用して、透明性を向上させることがあります。行動計画5では、対象となる取引を行う企業の居住国に加え、その親会社及び最終親会社の居住国とも、ルーリングに関する情報の交換を行うことが提言されています。この提言に従い、インド税務当局は、とりわけ情報の収集を目的として、インドにおけるプライベートタックスルーリングに係る規則及び様式の修正を提案しました。当該規則及び様式の修正案について、ステークホルダー及び一般市民のコメントを2018年4月30日まで募集しています。

シンガポール

2018年3月12日、OECDは、BEPS行動14(紛争解決メカニズムの有効性向上)ミニマムスタンダードの実施状況に関して、第三グループの相互審査(ピアレビュー)報告書を公表しました。シンガポールは、第三グル―プに属する評価対象国の1つです。シンガポールはOECDに対し、行動14のベストプラクティスを採用したことに関するフィードバックも提供するよう要請したため、 OECDは、相互審査報告書に加えて、ベストプラクティス報告書も併せて発表しました。

全体として、報告書は、シンガポールが行動14ミニマムスタンダードの要素のほぼすべてを満たしていると結論付けています。相互審査プロセスの次の段階(ステージ2)では、ステージ1の相互審査報告書において指摘された問題点に対処するためのシンガポールの取組みがモニタリングされます。

2018年4月11日付 EY Global Taxアラート、「OECD releases Singapore's peer review report on implementation of Action 14 minimum standard」(英語版のみ)をご参照ください。

英国

2018年4月16日、英国税務当局は、多数国間条約(MLI)における英国の留保事項と通告事項のリストに関する改正案を公表しました。英国は、MLIの署名時に、MLIの適用対象とする予定の119の租税条約を記載した暫定リストを提出しました(相手国もMLIの適用対象とした租税条約については、改定が行われました)。改正案により、英国のMLIの採択状況が変わることはありませんが、以下の変更が提案されています。

  • 当初の通告事項における誤謬の訂正
  • 当初のリストで誤って遺漏した条約の記載
  • MLIへの署名後に締結し、MLIに関連する条約の記載
  • 二国間による取決めによって改定を行うと合意された条約の削除

フェロー諸島、キルギス共和国、アラブ首長国連邦との条約、並びにウクライナとの改正条約が新たに記載され、ドイツとの条約については、二国間条約により改定を行うため、リストから削除されています。

留保事項の最終リストは、MLIを英国の国内法に取り入れるための2018年租税条約関連(BEPS)法案(draft Double Taxation (Base Erosion and Profit Shifting) Order 2018) の成立に向けた立法手続終了後、英国がOECDにMLIの批准書を寄託する時点で提出される予定です。英国は夏までにMLIを批准することを目指しています。

米国

米国内国歳入庁(IRS)は、通達2018-31において、国家安全保障に関わる指定業者(specified national security contractors)に該当する米国のMNEグループを対象とした、フォーム8975(国別報告書フォーム)の修正報告要件を発表しました。米国財務省とIRSは、内国歳入法6038条に定める国別報告書に関する規則を改正し、同通達に記載された修正報告要件を盛り込む方針です。本改正は、2018年3月30より後に提出される国別報告書及び修正国別報告書に適用されます。

2018年4月11日付 EY Global Taxアラート、「US issues CbC reporting guidance for specified national security contractors」(英語版のみ)をご参照ください。