EY税理士法人
ライブラリー

BEPS update
~オーストラリア、日本、ブラジル、ベルギー、マレーシア~

Japan tax alert 2018年4月26日号

オーストラリア

2018年3月28日、オーストラリア政府は、2018年財政法改正(OECDの多数国間条約)法案(Treasury Laws Amendment (OECD Multilateral Instrument) Bill 2018)(以下、「MLI法案」)を議会に上程し、さらに、オーストラリアのMLIの採択状況に関する有用なガイダンスとなる詳細な注釈も提出しました。オーストラリアでMLI法案が成立するには、上院と下院を通過し、女王の裁可を得る必要があります。国内での批准手続き終了後、オーストラリアがMLIの批准、承諾又は承認の証書をOECDに寄託することにより、オーストラリアのMLIの採択状況が確定されることになります。オーストラリアでMLIが発効するのは、当該証書の寄託日から3カ月経過した翌月の初日となります。

また、政府は2018年3月28日に、2018年財政法改正(税の公正性及びその他の措置)法案(Treasury Laws Amendment (Tax Integrity and Other Measures) Bill 2018)を下院に上程しました。同法案には、トラストやパートナーシップを用いた人為的なアレンジメントに関連する多国籍租税回避防止法(Multinational Anti-Avoidance Law:MAAL)を含め、以前発表された3つの租税措置が含まれています。

日本

2018年3月28日、2018年度税制改正法案が国会で可決され、税制改正に係る法律及び関連する政省令が2018年3月31日付官報にて公布されました。

成立した税制改正法には、国内法における恒久的施設(PE)の定義に関する改正が含まれおり、概して、BEPS行動7最終報告書におけるOECDの提言に沿ったものとなっています。PEに関する改正は、2019年1月1日以後に開始する事業年度から適用される予定です。

2017年12月27日付、Japan tax alert「平成30年度税制改正大綱」をご参照ください。

ブラジル

2018年3月23日、サンパウロ州税務当局は、サンパウロ州におけるデジタル商品への課税を規定したCAT条例第24/2018号を発布しました。同条例は、ブラジルの州税務当局理事会が発表した商品流通サービス税(ICMS)に関する州間協定第106/2017号を踏まえたもので、州の付加価値税(VAT)の一種であるICMSに関して、デジタル商品取引についての一般ルールを定めています。

CAT条例第24/2018号によれば、ウェブサイトやデジタルプラットフォームを含むデジタル商品を販売するブラジル業者は、サンパウロ州を設立地もしくは居住地とするエンドユーザー向けに販売を行う場合は、常に州VAT(ICMS)の対象となります。事業者間(B2B)販売は対象外となります。

デジタル商品とは、(i)標準(既成)のソフトウェア、プログラム、電子ゲーム、アプリ、電子ファイル等(ダウンロードで取得する又はクラウドで使用するかは問わない。変更されたもの、変更可能なものも含む)、並びに(ii)ダウンロードで取得するオーディオ、ビデオ、画像、テキストコンテンツと定義されています。条例の文言によれば、ストリーミングとデジタル商品の輸入はいずれも規制対象外とされています。

登録や請求書発行の手続き等の付随する義務も定められました。

デジタル商品に係る州VAT(ICMS)は、ブラジル納税者にとって常に賛否が分かれる論点でした。過去には、憲法及び法律上の論争が裁判所で展開されたこともあります。今後、BEPS行動1(デジタル経済)の文脈の中で新たな議論が起こると思われます。企業は、この問題に対応するため、議論がどのように展開していくかを注視する必要があります。

ベルギー

2018年3月7日、ベルギー税務当局は、ベルギーを対象としたBEPS行動14(紛争解決メカニズムの有効性向上)相互審査報告書における勧告に従い、租税条約に基づく(二重課税)紛争解決のための現行のルールに関する通達第2018/C/27号を発出しました。同通達は、主として、国内での解決策と手続規則との関係、並びに二国間での解決策(相互協議手続(MAP)及びEUの仲裁手続き)に関する実務的なガイダンスとなっています。

同通達では、主な手続規則の概要が示されているとともに、特定の種類の所得に対し課税を行うベルギーの権限に基づき、(二重課税)紛争事案の行政手続き段階及び(場合によっては進行中の)司法手続き段階で、ベルギー税務当局が示す実務上の見解及び立場が説明されています。

マレーシア

2018年3月16日、マレーシア内国歳入庁は、マレーシア非居住者がデジタル広告の提供により稼得した所得に対する税務上の影響を説明した実務指針(Practice Note)第1/2018号(以下、「本指針」)を発表しました。1ページにまとめられた本指針では、デジタル広告に関連する支払いが、マレーシアの事業所得として所得税の対象となるか、あるいはロイヤルティ所得もしくは1967年所得税法セクション4A(ii)に規定される所得(科学、工業もしくは商業に関わる事業、ベンチャー、プロジェクト又は計画において、技術面における管理や監督のために提供される技術的な助言、支援もしくは役務の対価として支払われる料金)として源泉税の対象となるかを簡潔に説明しています。

税務上の取扱いは、非居住者がマレーシアに恒久的施設(PE)を有する(租税条約が適用されます)、又は事業実体(business presence)を有するか(租税条約は適用されません)によって異なります。税務上の取扱いは以下の通りです。

  • 非居住者がPEも事業実体も有さない場合、当該支払いはロイヤルティ所得もしくはセクション4A(ii)に規定される役務提供による所得として源泉税の対象となります。
  • 非居住者がマレーシアにPEもしくは事業実体を有する場合、当該支払いは、セクション4(a)に規定されるマレーシア源泉の事業所得として課税されます。しかし、こうしたケースにおける源泉税の取扱い(もしあれば)については、本指針では説明がなされていません。

非居住者に対する支払いを「ロイヤルティ」としてみなすか、又はセクション4A(ii)に規定される所得としてみなすかの主な判定基準について、本指針は以下のように説明しています。

  • ロイヤルティ所得:例えば自らの広告キャンペーンを作成するために支払者がアプリケーションを購入もしくは使用するための対価として支払いを行う場合
  • セクション4A(ii)に規定される所得:支払者がデジタル広告のあらゆる側面への対応をサービス提供者に依頼しているため、支払いは非居住者による役務提供の対価に過ぎず、アプリケーションの購入や使用を伴わない場合

2018年4月9日付、Global tax alert「Malaysia issues practice note on tax treatment of digital advertising provided by nonresidents」(英語のみ)をご参照ください。