EY税理士法人
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BEPS update
~英国、オーストラリア、オランダ、シンガポール、日本、香港、ロシア~

Japan tax alert 2018年3月22日号
本BEPS updateでは、EYグローバルから発行されているタックスアラートから各国のBEPS最新情報を抜粋してお知らせします。なお、各国の詳細情報については、英語の原文をご参照ください。

英国

2018年3月1日、2010年租税(国際法及びその他の規定)法(Taxation (International and Other Provisions) Act 2010、以下「TIOPA 2010」)の2018年移転価格ガイドライン指定指令(Transfer Pricing Guidelines Designation Order 2018、以下「同指令」)が下院に上程され、2018年3月23日に発効する予定です。同指令は、TIOPA 2010第164条(4)(a)で言及されている移転価格ガイドラインに代えて、新たな2017年版(BEPS行動8-10を踏まえて更新された移転価格ガイドライン)を指定することにより、英国法における「移転価格ガイドライン」の定義を更新するものです。

英国の移転価格税制では、二者間で実際に行われた又は要求された提供と、独立した当事者間で行われた場合の独立企業原則に基づく提供との比較が行われます(TIOPA 2010第147 条)。

同指令は、以下の期間のいかなる時点で行われた又は要求された提供に対しても効力を生じます。

  • 法人税上は、2018年4月1日以後に開始する会計期間
  • 所得税上は、2018-19年以降の課税年度

同指令に関する租税情報・影響ノート(Tax Information and Impact Note)は、以下ウェブサイトに掲載される予定です。


オーストラリア

2018年3月7日、オーストラリア財務相は、2018年財政法改正(OECDのハイブリッド・ミスマッチ・ルール)法案(Treasury Laws Amendment (OECD Hybrid Mismatch Rules)Bill 2018)の改訂公開草案をパブリックコンサルテーション向けに公表しました。同法案は、OECDが2015年10月に発表したBEPS行動2(ハイブリッド・ミスマッチに係る取決めの効果の無効化)に関する報告書による勧告を導入するためのものです。

改訂公開草案には、発表はされていたものの、2017年11月24日に公表された最初の公開草案に含まれていなかった一定の措置、すなわちインテグリティルール(integrity rule)と支店のハイブリッド・ミスマッチに関するルール(branch hybrid mismatch rules)が含まれています。改訂公開草案に関するコンサルテーションは、2018年4月4日に終了する予定です。

2018年3月8日付、EYグローバルタックスアラート「Australia releases revised exposure draft on hybrid mismatch tax rules including integrity and branch measures for public consultation」(英語版のみ)をご参照ください。

2018年2月7日、オーストラリア税務当局(ATO)は、オーストラリア版迂回利益税(DPT)に関する実務コンプライアンス指針(PCG)2018/D2草案(以下、「PCG草案」)をパブリックコンサルテーション向けに発表しました。PCG草案に関するコメントの提出期限は2018年3月9日でした。

PCG草案は、以下を目的としているため、多国籍企業にとって重要となります。

  • 納税者によるアレンジメントのDPTリスクをATOがどのように認識するかによって異なってくる納税者の行動の支援(確実性をさらに向上するために利用可能なATOのガイダンスを含む)
  • ATOがDPTリスクの評価に基づいて取り得る行動の概説
  • DPTの十分な経済的実体(Sufficient Economic Substance:SES)テストに対するATOのアプローチの説明(SESテストで高リスク、低リスクと判定される10の事例を含む)

PCG草案は、DPT及びコンプライアンスに関する完全な指針ではなく、ATOが2017年12月18日に発表した以下の指針を補完するためのものです。

  • DPTに関する法令遵守指針(LCG)2017/D7草案(コンサルテーションは2018年2月16日に終了)
  • ATOがDPT査定を提案、実施するプロセスを説明した実務指針(PSLA)2017/2

2018年2月7日付、EYグローバルタックスアラート、「Australian Taxation Office releases draft practical compliance guide on diverted profits tax」(英語版のみ)をご参照ください。


オランダ

昨年、オランダ政府は今後4年間の政策に関する政策文書を発表しました。これに続き、2018年2月23日、オランダ財務省が財政アジェンダを公表しました。同アジェンダには、政策文書において、すでに発表されている様々な税制改正について、その詳細と適用時期が記載されています。

同アジェンダにおける2つの最優先事項は、オランダが企業に対して競争力ある税制上の投資環境を提供し続ける一方で、OECDとEUの勧告に従って、租税回避対策指令(ATAD)やEU非協力国ブラックリストを含む一定の租税回避防止措置の導入を目指すことです。そのため、同アジェンダには以下のような主要事項が含まれています。

  • オランダの法人税率を2019年には現在の25%から24%に、2020年には22.5%に、2021年には21%に引き下げることが確認されています(同時に課税所得が20万ユーロ以下の場合に適用される軽減税率も段階的に16%まで引き下げられます)。
  • 同アジェンダに従い、2020年1月1日より配当源泉税が廃止されます。同時に、低税率の国・地域あるいはEU非協力国ブラックリストに掲載されている国・地域の税務上の居住者である関連会社への配当支払いにのみ適用される条件付き配当源泉税が導入されます。予想されていたように、ATADのアーニング・ストリッピング・ルールを2019年1月1日より導入することが確認されています。
  • 外国子会社(CFC)合算税制が2019年1月1日より導入されます。オランダは、実質的にATADのオプションBを選択することになります。オプションBは、すでに現行制度に組み込まれているとみなすものであり、一方、オプションAは限られた数の特別の場合にのみ適用されます。
  • ハイブリッド防止ルールが2020年1月1日を目途に導入される予定です。法律が技術的に複雑であり、ハイブリッド・ミスマッチは多岐にわたるため、オランダ政府はインターネットによるコンサルテーションが必要と考えています。さらに、同アジェンダによれば、オランダはすべての二国間租税条約にハイブリッド防止ルールを盛り込む方針です。
  • また同アジェンダによれば、オランダ政府は、利子及びロイヤルティの支払いに係る条件付源泉税を2021年1月1日より導入する方針とのことです。提案されている源泉税は、低税率の国・地域あるいはEU非協力国ブラックリストに掲載されている国・地域の税務上の居住者である関連会社への支払いにのみ適用されます。

シンガポール

2018年2月22日、シンガポール政府の官報において、2018年所得税(移転価格文書化)規則(Income Tax(Transfer Pricing Documentation)Rules 2018、以下「TPD規則」)が公表されました。TPD規則は2018年2月23日に発効し、基準年度である2019年賦課年度(Year of Assessment)及びそれ以降の賦課年度(すなわち、2018年以降の会計年度)に適用されます。

  • さらに、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は2018年2月23日に、移転価格ガイドラインの改定版(第5版)(以下、「2018年TPガイドライン」)を公表しました。2018年TPガイドラインにおける変更点は、新たに発効したTPD規則が取り入れられていることや、TPD規則の一部について事例や説明が提供されていることなどが含まれます。また、2018年TPガイドラインでは、比較可能性分析や取引単位利益分割法に関するガイダンスが拡充されています。特に注目すべき点は、2018年TPガイドラインの6章(TPD)が、新たなTPD要件を反映させるために完全に書き直されたこと、並びに15章(加算税及びペナルティ)が新たに追加され、TPD要件を遵守しない場合に科される新たな加算税及びペナルティに関するガイダンスが示されたことです。TPD規則は、納税者に対しTPDの作成を免除する一定の要件を定めているとはいえ、納税者は、独立企業原則を確実に遵守するため、関連者間取引を見直す必要があります。これは、納税者がシンガポールのTPDの作成を免除されている場合でも、移転価格調整に係る新たな加算税の適用対象となるためです。また、TPD規則を遵守しない場合はペナルティが科される可能性あるため、納税者は、TPDの作成に当たり、TPD規則及びシンガポール固有の内容要件を考慮する必要があります。

日本

2018年2月23日、国税庁は、移転価格事務運営要領の一部改正(事務運営指針)を公表しました(国税庁のウェブサイトでは、2018年2月16日付の発遣となっています)。BEPS行動8-10の最終報告書において、低付加価値の役務提供に対しては、選択可能としながらも、簡易的アプローチが提言されており、移転価格ガイドラインも関連する部分が改訂されています。これに従い、改正後の事務運営指針には、低付加価値の役務提供に対する簡易的な5%マークアップのアプローチが含まれています。事務運営指針には、簡易的アプローチの使用が認められる状況が明記されています。例えば、低付加価値の役務提供において、無形資産を使用していないこと、重要なリスクの引受けを行っていないこと、役務提供の内容が、研究開発、製造、販売、物流、マーケティング、金融、保険、天然資源の採掘・加工のいずれにも該当しないこと等の要件が挙げられています。また、改正後の事務運営指針では、グループ内役務提供の範囲や事前確認(APA)に係る手続きが明確にされています。


香港

2018年3月5日、香港の内国歳入庁は、国別報告書の提出を容易にするため、国別報告書ポータルサイトを開設しました。香港の構成事業体は、ポータルサイトを通じて、通知、国別報告書の提出、関連する連絡を行うことができます。また、国別報告書の提出義務がある多国籍企業グループの香港の最終親会社は、2016年度及び2017年度(2016年1月1日から2017年12月31日までの会計期間)を対象とした国別報告書をポータルサイトから自主的に提出できます。


ロシア

2018年2月13日、ロシア財務省は、物品に係るクロスボーダー電子商取引を管理するための新たな仕組みを提案する規則草案を公表しました。規則草案では、「クロスボーダー電子商取引を通じて個人消費のために物品を輸入(輸出)する認定事業者」という概念が導入されています。認定事業者の資格を取得するためには、規則草案に記載されている一定の基準を満たす必要があります。認定事業者は、ロシアの税務当局及び税関当局に対し、ロシアの顧客及び国外の電子商取引業者から購入された物品に関する電子データを提供するとともに、顧客に代わって関税を送金することになります。

この新たな規則を試すため、2018年5月15日から2018年12月31日までの間、パイロットプロジェクトを実施することが提案されています。パイロットプロジェクトに選ばれる認定事業者は、ロシアの郵政公社とロシア最大の運送会社となる予定です。



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