EY税理士法人
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BEPS update
~OECD、欧州連合、ブラジル、ドイツ、ロシア及び米国~

Japan tax alert 2017年6月16日号
本BEPS updateでは、EYグローバルから発行されているタックス アラートから各国のBEPS最新情報を抜粋してお知らせします。なお、各国の詳細情報については、英語の原文を参照ください。

OECD

2017年6月2日、OECDは、BEPS包摂的枠組みの参加国・地域のリストを更新しました。タイとジブチが新たに加わり、参加国・地域の総数は98になりました。BEPS包摂的枠組みの参加国として、タイとジブチは、行動5(有害な租税慣行への対応)、行動6(租税条約の濫用の防止)、行動13(移転価格文書化)及び行動14(紛争解決メカニズムの有効性向上)におけるミニマム・スタンダードを遵守することを確約しています。

2017年5月29日、OECDは、BEPS行動6「不適切な状況での条約の特典付与の防止」についての相互評価文書を公表しました。同文書は、OECDの広範囲に渡る相互評価プロセスの一部です。相互評価の目的は、ミニマム・スタンダードとして合意されたBEPS行動を、一貫性のある効果的な方法で導入することにあります。BEPS行動6についての相互評価文書には、合意された付託条項、並びに相互評価プロセスについての判定方法が記載されています。トリーティーショッピングに関するBEPS行動6のミニマム・スタンダードの実施評価は2018年に開始されます。

詳細: OECD releases peer review document on BEPS Action 6 on Preventing the Granting of Treaty Benefits in Inappropriate Circumstances, dated 30 May 2017(英語)

欧州連合

2017年5月29日、欧州連合理事会は、租税回避防止指令(Anti-Tax Avoidance Directive、以下「ATAD」)の改正指令を採択しました。改正指令は、「ATAD 2」として知られていますが、ATADの適用範囲を第三国(すなわち、EU 域外国)が関与するハイブリッド・ミスマッチに拡大するものです。また、ATAD 2には、ATADには含まれていないハイブリッド・ミスマッチの形態も含まれています。ATAD 2の内容は、EU経済・財務相理事会(ECOFIN)が2017年2月21日に合意した内容と一致しています。

詳細: EU Council adopts Directive (ATAD 2) to address hybrid mismatches with third countries, dated 30 May 2017(英語)

2017年5月23日、EU経済・財務相理事会(ECOFIN)は、EU域内の二重課税紛争解決メカニズムに関する指令(以下、「同指令案」)について合意しました。同指令案では、EU域内における強制力及び拘束力を有する紛争解決メカニズムの強化が図られています。同指令案は、EU仲裁協定を踏まえたものですが、対象範囲が拡大され、移転価格や恒久的施設に対する利益配分以外の分野も対象としています。また、紛争解決メカニズムの強制力と有効性を強化するに当たり、現行のプロセスにおいて明らかになった問題点に対処する内容となっております。EU加盟国は、2019年6月30日までに、同指令を国内法令に取り入れなければなりません。同指令は、2018年1月1日以降に開始する課税年度に係る問題について、2019年6月30日より後に提出された不服申し立てに適用される予定です。ただし、2018年1月1日以前の課税年度に係る不服申し立てにも同指令を適用することにEU加盟国が合意する可能性もあります。

詳細: ECOFIN reaches political agreement on mandatory dispute resolution mechanisms Directive, dated 23 May 2017(英語)

ブラジル

2017年5月25日、ブラジルは、国別報告書に関する規則について、2つの重要な改正点を公表しました。1つ目の改正点は、報告事業年度が2016年の場合に経過規則を導入することです。この経過規則は、最終親会社がブラジル以外の管轄国地域の居住法人である多国籍企業グループにとって重要です。なぜなら、例えば、最終親会社の管轄国地域とブラジルとの間で、2017年7月31日までに国別報告書の自動的交換に関する適格当局間合意が行われない場合、経過規則がなければ、ブラジルの構成事業体がグループの国別報告書をブラジルにおいて2017年7月31日までに提出する義務があるからです(ローカルファイリングと呼ばれます)。しかし、2017年5月25日の標準指針(Normative Instruction)第1,709号において、ブラジルの国別報告書に関する規則が改正され、適格当局間合意の期日が2017年7月31日から2017年12月31日まで延長されました。2017年12月31日までに、最終親会社の管轄国地域とブラジルとの間で適格当局間合意が締結されない場合、ブラジルの構成事業体は、60日以内に、修正電子税務申告書において、国別報告書を提出するか、あるいは代理親会社としてグループの国別報告書を提出する事業体を通知しなければなりません。もう1つの重要な改正点は、合弁企業を対象とした特別規則の廃止です。

詳細: Brazil amends Country-by-Country Reporting requirements to extend 31 July deadline for filing local reports for 2016 , dated 5 June 2017(英語)

ドイツ

2017年5月16日、ドイツ財務省は、ドイツが多国間協定(MLI)に署名する方針であることを発表しました。正式な調印式は2017年6月7日に行われます。

ロシア

2017年5月20日、ロシア政府は、政令963r号を採択し、多国間協定(MLI)に署名すると発表しました。ロシアが締結している63の租税条約にMLIが適用されることになります。財務省は、選択肢のある規定について、どのような選択をロシアが行ったかを明らかにしていません。正式な調印式は2017年6月7日に行われますが、MLIは批准される必要があります。

米国

2017年6月5日、内国歳入庁(IRS)は、国別報告書の交換に関する税務当局間合意(Competent Authority Agreement、以下「CAA」)のリストを更新しました。米国はこれまでに、アイスランド、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカの5カ国とのCAAに署名しており、IRSがその内容を公表しています。CAAの規定によれば、これら5カ国と米国は、報告事業体グループの1つ以上の構成事業体が、他の管轄国地域の税務上の居住者である場合、もしくは他の管轄国地域において恒久的施設を通じて行う事業が課税対象となる場合、自国の税務上の居住者である各報告事業体から受領する国別報告書を年に1度自動的に交換することになります。


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