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EU、国別報告書を一般公表する提案の承認に至らず

Japan tax alert 2019年12月17日号

エグゼクティブサマリー

2019年11月28日に開催された欧州連合(EU)競争力理事会(COMPET)の会合では、税源浸食と利益移転(BEPS)行動13の国別報告書(CbC報告書)に含まれる税務および財務情報を一般に公表すべきかどうかについて、EU現加盟国28カ国の大臣による投票が行われましたが、議決に至りませんでした。

EU加盟国のうち、本提案に賛成票を投じたのは14カ国(ベルギー、ブルガリア、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、イタリア、リトアニア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、およびスペイン)、反対票を投じたのは12カ国(オーストリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、スロベニア、およびスウェーデン)でした。ドイツは棄権し、英国は投票できませんでした。

COMPETは、EU全加盟国の貿易、経済、産業、研究・イノベーション、および宇宙担当大臣が参加する会議体です。EUの制度上、本来は租税政策問題を討議する場ではありませんが、問題の指令が租税指令ではなく会計指令であることから、COMPETにおいて今回の投票が実施されました。今回の投票は会計指令2013/34/EU(以下、「本指令」)を改正すべきかどうかをめぐって実施されたものです。特定多数決(QMV)方式の下で、指令改正案の可決には16カ国以上の賛成票が必要とされていました。

今回のCOMPETの会合に先立ち、キプロス、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、スロベニア、およびスウェーデンは本提案に反対する共同声明を発表し、「COMPETはこの提案への全般的なアプローチを採択するための適切な場でない」と主張していました。

本指令が改正された場合、適用対象の多国籍企業(MNE)または独立系企業(過去2事業年度の連結合計売上高が連続して7億5,000万ユーロ(約8億3,000万米ドル)を超えた企業)は、各EU加盟国で納付した法人所得税額を含むさまざまな税務関連情報を開示しなければならないとされていました。

本指令の改正は、今回の投票では結果的に法制化に至りませんでしたが、今後修正の上で、2回目のCOMPETでの採決にかけられる可能性があります。今回のCOMPETの投票は、新しい譲歩案(コンプロマイズペーパー)の最初の提示(ファーストリーディング)に基づいて実施されました。当該譲歩案では、機密情報の公表を各EU加盟国が6年間延期することのできる適用除外ルールが、議長国であるフィンランドから提案されています。これは、2019年1月の譲歩案に含まれている4年間の適用除外ルールを延長するものとなっています。

※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。


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