EY税理士法人
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BEPS update - EU、オーストラリア、オランダ、フランス、米国

Japan tax alert 2018年10月24日号

欧州連合(EU)

2018年10月2日、EU経済・財務相理事会(ECOFIN)は、リヒテンシュタインとペルーが税務協力に関するすべてのコミットメントを遵守していることを確認したとして、2017年12月5日に公表した理事会結論書の附属書Ⅱ(「グレーリスト」)から当該2カ国を除外しました。グレーリストには、租税政策の改革を十分に行うと確約した国・地域が含まれ、厳重な監視対象となります。また、ECOFINの会合において、EUが策定した税務上非協力的な国・地域のリストからパラオが除外され、グレーリストに移されました。EU加盟国の財務相および経済相は、EUによって指摘された不備に対処するためにこれらの国・地域が示したコミットメントについての専門家の評価を踏まえ、リストからの除外は正当化されると合意しました。2017年12月5日に発表された非協力的な国・地域のリストには、当初17カ国が記載されていました。今回の決定を受けて、同リストに残った国・地域は、アメリカ領サモア、グアム、ナミビア、サモア(独立国)、トリニダード・トバゴ、アメリカ領ヴァージン諸島の6つとなりました。

オーストラリア

2018年10月2日、オーストラリア財務省は、2018-2019年度連邦政府予算案の中で発表したオーストラリアにおけるデジタル経済を対象としたより公平で持続可能な税制について、ディスカッションペーパーを公表しました。

ディスカッションペーパーでは、現段階におけるデジタル活動への課税に関する推奨事項は全く提示されていません。ディスカッションペーパーで取り上げられているのは、英国およびEUによる提案を含む長期的解決策および暫定的解決策、ならびにデジタル活動への売上高ベースの課税に関する国際的な検討についての詳細な議論です。

オーストラリア財務省は、2018年11月30日まで、13の議論に関する質問についてのフィードバックを募集しています。議論の領域には、ユーザーが創造する価値および無形資産に関連する価値、現行の帰属利益ルールの改正、現行のネクサスルールの改正、より広範囲な改革の選択肢、ならびに暫定的選択肢の設計上の検討事項等が含まれています。

2018年9月26日、オーストラリア税務当局(以下、「ATO」)は、迂回利益税(以下、「DPT」)に関して、最終的な法令関連ルーリング(Law Companion Ruling)LCR 2018/6(以下、「LCR」)および実務コンプライアンス指針(Practical Compliance Guideline)PCG 2018/5(以下、「PCG」)を公表しました。

今回発表されたLCRとPCGは、2018年2月から3月にかけて発表された草案についてのパブリックコンサルテーションを踏まえた内容となっています。LCRとPCGのいずれにも、DPTに関する法律の透明性と納税者のATOとの関わりを向上させる追加的な内容と改善点が含まれていますが、基本的な変更点はありません。

PCGとLCRは、すべての大規模グローバル企業(Significant Global Entity、以下、「SGE」)にとって重要となります。SGEには、現行の定義ではSGEと見なされなくても、2018年9月に議会で導入されたより広い定義ではSGEに分類され、非公開企業、信託もしくは投資法人を主体とする大規模グループのメンバーも含まれます。

2018年9月20日、オーストラリア政府は、2018年財政法改正(多国籍企業による確実かつ公正な納税負担およびその他の措置)法案を議会に上程しました。同法案には、2018-2019年度連邦政府予算案での発表に沿って、国外での宿泊予約サービスも物品サービス税(GST)の課税対象とする措置が含まれています。同措置の導入により、オーストラリアの商業宿泊施設を使用する権利またはオプションの国外供給業者は、GSTの対象となる売上高を計算する際に、係る供給を含めることが義務付けられるようになります。

オランダ

2018年9月25日、オランダ財務省は、2019年度予算案の中で発表した(i)オランダの租税条約に関する政策、ならびに(ii)低税率国・地域のリストについて、インターネットによるコンサルテーションを開始しました。低税率国・地域のリストは、CFC税制の措置案の重要な部分です。同措置案は、未分配の汚れた(tainted)受動的所得のみを対象としており、CFCが(a)低税率国・地域(法定税率が7%未満であり、かつ現在コンサルテーションに付されている網羅的なリストに含まれている国・地域)、または(b)EUによる非協力的な国・地域のリストに含まれている国・地域の税務上の居住者である場合に限定されます。コンサルテーションでは、次の国・地域をリストに含めることが提案されています:アンギラ、バハマ、バーレーン、バミューダ、イギリス領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、ガーンジー、マン島、ジャージー、クウェート、パラオ、カタール、サウジアラビア、タークス・カイコス諸島、アラブ首長国連邦、バヌアツ。

2018年9月18日、オランダ政府は、2019年度予算案(以下、「予算案」)を発表しました。予算案には2019年度税制改正案も含まれています。予算案は、オランダ政府による以前の発表に概ね沿った内容となっています。

予算案では、標準法人税率を段階的に引き下げ、2021年には22.25%(20万ユーロ以下は16%)とし、配当源泉税については2020年1月1日付で廃止するとしています。また予算案には、EUの租税回避防止指令(ATAD)が2019年1月1日より前に導入を求めているいくつかの措置が含まれています。具体的には、アーニング・ストリッピング・ルールや低税率の外国子会社(CFC)および恒久的施設に対するCFC税制の導入等が挙げられています。

さらにオランダ政府は、すでに発表されている他の税制改正の計画も発表しました。ATADのハイブリッド防止規定については、2020年1月1日付で導入する意図を再び表明しました。パブリックコンサルテーションが2018年の終わりまでに開始される予定です。また、OECDが策定した多数国間条約(MLI)の批准手続きは、2018年中には終了しない見通しとしています。従って、源泉税に関しては、原則としてMLIが2020年1月1日より前に発効することはありません。

フランス

2018年9月24日、フランス政府は2019年度財政予算案(以下、「予算案」)を公表しました。予算案では、利子損金算入制限規定の改正、ならびにEUの租税回避防止指令 (ATAD) に沿った一般的濫用防止規定(GAAR)の導入が提案されています。具体的には、原則として、企業の課税所得計算において損金算入できる純利子費用は、(ⅰ)300万ユーロ、または(ⅱ)企業の調整後課税所得金額の30%のいずれか高い金額が上限となります。特定の事業年度に損金不算入とされた利子費用は、無期限に繰越すことが可能です。また、ATADの第6条に規定される一般的濫用防止規定をフランスの国内法に取り入れることが提案されています。これらの新規則は、2019年1月1日以降に開始する事業年度から適用するとしています。

さらに予算案では、BEPS行動5のネクサスアプローチに準拠するため、特許関連所得に適用される優遇税制の改正が提案されています。同税制の適用には、フランスにおいて研究開発(R&D)活動を申請する納税者の実績が条件とされるようになります。改正税制は、適格特許を創出または取得した日にかかわらず、2019年1月1日以降に開始する事業年度から適用されます。

2019年度予算案は、今後数週間にわたりフランス議会で審議される予定となっており、修正される可能性があります。最終的な2019年度予算案は、2018年12月末までに成立する見込みです。

米国

2018年9月13日、米国財務省と内国歳入庁は、グローバル軽課税無形資産所得(Global Intangible Low-Taxed Income、以下、「GILTI」)制度に関し、強く待ち望まれた規則草案(Proposed Regulations)を公表しました。規則パッケージの中には、Subpart F所得や連結納税規則に関する改正案および追加案も含まれています(以下、総称して「規則草案」といいます)。規則草案に含まれている規定は次の通りです。(ⅰ)GILTIの合算の基礎となる基本要素(「Tested Income」、「QBAI」など)の計算方法を説明する、(ⅱ)GILTIおよびSubpart F所得の合算における「Pro Rata Share」の定義を改訂する、(ⅲ)GILTI制度上、一定ベースの「Step-Up」取引について濫用防止規定を設定する、(ⅳ)GILTI制度上、米国パートナーシップおよびそのパートナーに対しては、「Aggregate/Entity」併用アプローチを採用する、(ⅴ)一般に、連結納税グループに対しては、メンバーごとではなくグループとしてGILTIの合算額の算定を行うことを義務付ける。規則草案が最終規則として確定された場合、一般的には2017年12月31日経過後に開始する外国法人の課税年度から適用され、米国株主については、外国法人の適用開始課税年度の最終日を含む課税年度から適用されます。

2018年9月20日付、Japan tax alert 「米国、GILTI財務省規則案公表」をご参照ください。