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インドネシア、国別報告書の実施規定を公表

Japan tax alert 2018年2月1日号

エグゼクティブ・サマリー

2017年12月下旬、インドネシアの国税総局長(DGT)は、国別報告書(CbCR)に係る要件の実施規定として29/PJ/2017(PER-29)を公表しました。これは2017年12月29日から施行され、財務省規則PMK-213における一般的な要件をより明確にしています。

インドネシアのCbCR規則の運用は、2016年12月31日終了年度を初年度として適用されました。インドネシア及び外国に本社を置く多国籍企業グループは、新しい通知要件を満たし、CbCRの現地提出が必要かどうかを判断しなければなりません(この場合の提出期限は、2018年4月30日となります)。

全体として、PER-29はOECD基準とより整合性のあるものとなっています。PER-29の重要な側面は次のとおりです。

  • インドネシアでの提出要件を免除することのできる、親会社の国・地域との間で有効とされる適格当局間合意(QCAA)の種類の確認
  • 親会社以外のグループ企業による代理提出が容認される場合
  • DGTが他の国・地域と情報交換できなかった場合における、インドネシアでの提出に係る二次的な規定
  • インドネシアに親会社を有するグループのCbCR提出要件の確認。これには追加のCbCRワーキングペーパーが含まれるが、外国に親会社を有するグループに提出義務はない
  • CbCRを提出するグループ会社とその国・地域、並びに期限について、インドネシアの会社がDGTに報告するための通知様式の導入
  • CbCR電子申告用のXML形式標準の採用

インドネシアの子会社又は支店を有する多国籍企業グループの取るべき対応:

  • PER-29に基づくCbCRの作成要否を判断します。
  • 親会社の国・地域においてすでに親会社がCbCRを提出している場合、インドネシアでの提出が免除されるかを判断します。現在、OECDのウェブサイトによると、インドネシアは46の国・地域と有効な情報交換関係を有していますが、米国、中国、香港などの主要な国・地域は含まれていないことに留意が必要です。またいくつかの情報交換関係は、2017年度以降でなければ発効しないことにも留意しなければなりません。これにはマレーシア、シンガポール、スイスなどがあります。QCAAが存在しない又は発効していない場合、外国親会社がCbCRを提出していてもインドネシアでの提出義務は免除されないとみられます。
  • 外国親会社による提出がない場合、又はQCAAが存在しない場合、QCAAを有する国・地域で他のグループ企業を代理法人に指名することを検討します。
  • 親会社又は代理法人が要件を満たす提出を行っていない場合、インドネシアで提出するCbCRを作成します。
  • 上記すべての場合において、インドネシアの通知要件を満たすことが必要です。

親会社の国・地域がCbCR規則をまだ導入していない場合でも、インドネシアにおけるCbCR要件実施に延期はないことに留意が必要です。この場合、代理提出又はインドネシアでの提出が必要となります。

インドネシアでの提出義務の免除を受けるために、今のところ適切なQCAAがいつの時点で必要であるかについては不明です。

インドネシアでの提出義務を有する企業の定義は、PMK-213に比べPER-29ではより明白になっています。関連事業グループの親会社であるインドネシア企業には、外国の親会社グループのインドネシア子会社(及び支店)とは異なる規則があります。いずれの場合も、CbCRに含まれる親会社及びグループ会社を定義することが重要です。

インドネシアの親会社を有する多国籍企業グループ

親会社及び事業グループの定義

親会社の定義は、以下のa及びbに該当し、かつc又はdのいずれかに該当する企業となります。

  1. 事業グループ内の他の企業1社以上を直接又は間接に支配する企業
  2. インドネシアで一般的に認められる財務会計基準、及び/又はインドネシアの上場企業に求められる規定による連結財務諸表作成義務を有する企業
  3. 事業グループ内の他の企業によって直接又は間接に所有されていない
  4. 他の企業によって直接又は間接に保有されているが、当該他の企業は親会社の財務諸表を連結する必要がない

事業グループは、25%の保有関係(直接又は間接)、支配又は同族関係によって定義されるインドネシア国内法の特殊関連者の概念を参照しているため、そのようなインドネシアの親会社は、CbCRに特別な関係を有するすべての企業及び支店・PE(恒久的施設)を含める必要があると見られます。これはOECDのアプローチとは異なるものです。事業グループの概念は、外国の親会社については異なった定義となっていることに留意が必要です。

インドネシアの親会社の提出要件

PMK-213と同じく、CbCR要件の年間連結総収入基準は11兆ルピア(7億5,000万ユーロ相当)以上です。

インドネシアの親会社は、ワーキングペーパーを含むCbCRをDGTに提出する必要があります。そのようなグループは、CbCRを提出するために非居住者である代理法人を指名することは認められません。

外国親会社を有するグループのインドネシアの子会社及び支店・PE

親会社と構成事業体の定義

PER-29は、CbCRにおける親会社(OECDの最終親会社の概念に類似しています)、及びグループの定義に関する今までの曖昧さを解消しています。

外国親会社を有するグループに係る規則では、以下のすべてに当てはまる企業を親会社と定義しています。

  1. 多国籍企業グループ内の他の構成事業体1社以上を直接又は間接に保有する企業
  2. 会社の所在する国地域において一般的に認められる財務会計基準又は規制によって連結財務諸表作成義務を有する企業
  3. 多国籍企業グループ内の他の構成事業体によって直接又は間接に保有されていない、もしくは他の構成事業体によって直接又は間接に保有されているが、当該他の構成事業体はその会社の財務諸表を連結する必要を有さない企業
  4. 当該年度の連結総収入が以下のいずれか以上である企業
    • 7億5,000万ユーロに相当する額
    • 親会社が所在する国地域におけるCbCR要件の基準となる連結総収入の額

これは多国籍企業が採用している既存のアプローチとの違いを最小限にすることのできる実用的なアプローチです。

また構成事業体は以下、のように定義されています。

  1. 多国籍企業グループの一員であり、財務報告目的で作成される親会社の連結財務諸表に含まれる独立した各事業体
  2. 多国籍企業グループの一員であり、事業規模又は重要性においてのみ連結財務諸表に含まれない各事業体
  3. a又はbに定められた事業体の各恒久的施設であって、財務報告、法令規定の実施、税務報告、又は企業経営管理のために別個の財務諸表を有する場合

現地提出要件

PER-29はPMK-213を踏襲し、以下のいずれかに該当する場合、インドネシアの子会社(又は支店)はCbCRを現地で提出する必要があるとしています。

  • 親会社にCbCR提出義務がない場合
  • 親会社の国地域が、税務情報交換に関するインドネシア政府との合意を有していない場合。以下に述べるようにCbCR要件としてはQCAAが求められ、通常の二国間租税条約における情報交換規定では不十分となります。
  • インドネシア政府と上述の合意を有していても、インドネシア政府がそれぞれの国地域からCbCRを入手できなかった場合

PER-29は、これらの問題についてさらに詳細を述べています。

適格当局間合意(QCAA)

QCAAは、CbCRの自動交換を必要とするインドネシア政府及び相手国・地域の権限ある当局同士の合意として定義されています。これは、権限ある当局による多国間合意(MCAA)及びCbCRに関する特定の二国間条約双方を対象とし、OECDのアプローチと一致していると見られます。

他の形態の情報交換ではなく、QCAAが、インドネシアのCbCR提出を免除されるかどうかを理解する上で重要な問題です。

外国親会社を有するインドネシア企業のCbCR提出要件を実施するに当たり、PER-29は、DGTが以下についての相手国地域のリストを発表するとしています。

  1. 国際協定の相手国地域
  2. QCAAの相手国地域
  3. QCAAを有するがCbCRが入手できない相手国地域

現時点ではこれらのリストは公表されていません。2018年4月30日に期限が到来することとなる2016年度についてのインドネシアでの提出要件の有無を理解するためには、QCAAの存在を確認することが最も重要です。しかしQCAAがあったとしても、それが効力を有しているのか判断する時間はありません(上記c.の場合)。 この場合OECDのウェブサイトで提供されている有効なCbCR交換関係のリストを参照することとなります。

PER-29は、QCAAが有効でないことが判明し、インドネシアの子会社又は支店がインドネシアのCbCR提出義務を有することとなる場合、DGTがCbCRを入手することのできない相手国地域のリストを発表した後、3カ月以内にCbCRを提出しなければならないとしています。

代理提出

PER-29では、グループが他の外国企業を指名して、親会社の代理としてCbCRを提出することができるとしています。インドネシアの子会社は、以下のいずれをも満たす場合に現地での提出義務が免除されます。

  1. 定められた様式で代理法人を指名する通知を提出する
  2. 代理法人が所在する国地域が以下のいずれにも該当する
    • CbCRの提出要件を有している
    • インドネシアとの適格当局間合意(QCAA)を有しており、インドネシア政府がCbCRを入手することができる

インドネシアと適切なQCAAをまだ締結していない国地域の親会社は、インドネシアの提出要件を緩和するために、QCAAを有している国地域における代理提出を検討することができます。

CbCRを提出しなければならない親会社

上記のように、インドネシアでの提出が必要となるのは、親会社の国地域でCbCR提出要件がない場合ですが、これにより、2016年度に自主的な早期採用を行った国・地域についてどのように考えるのかという問題が残ります。しかし、このような国・地域の大部分は、インドネシアとQCAAをまだ有していないか、2016年度にはまだ有効ではありません。したがって、そのようなグループは、いずれの理由にしても代理提出又はインドネシアでの提出を検討する必要があります。

インドネシアでのグループ一元提出

現地提出が必要な場合、PER-29は、外国親会社がインドネシアの企業の1つを指名して、すべてのインドネシア企業を代表してCbCRを提出することを認めています。

通知要件と2017年度以降の提出期限

PER-29は、CbCR要件の対象となるグループ企業であるインドネシア企業に対して通知要件を導入しています。CbCRを提出するインドネシア企業は、CbCRの提出の際に定められた様式の通知書を添付しなければなりません。

2016年度の通知及びCbCRは、事業年度終了後16カ月以内に提出しなければなりません。2016年12月31日の終了年度であれば2018年4月30日となります。しかし、今後は、事業年度終了後12カ月以内に変更される予定です。すなわち、2017年12月31日終了年度であれば2018年12月31日となります。

提出様式

PER-29は、インドネシアにおけるXML(拡張可能なマークアップ言語)形式と電子ファイリングの採用を規定しています。このXML形式は、標準のOECD XML形式と一貫するものになるとみられます。


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