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日欧EPA交渉妥結
メガFTA、19年にも発効へ

Japan tax alert 2017年12月13日号

概要

2017年12月8日に行われた日本の安倍首相とEUのユンケル欧州委員長の電話会談において、日本とEUの経済連携協定(EPA)の交渉妥結が確認されました。今後、日本及びEUは協定文のテキストを整える「リーガル・スクラブ」の作業を経て、双方での署名・批准手続に入ることになります。

これにより、総人口6.4億人、世界のGDPの約28%、世界貿易の約37%の広範な経済圏をカバーするEPAがいよいよ発効に向けて動き出します。

日欧EPAには、物品・サービス貿易のみに留まらず、非関税措置並びに地理的表示(GI)及び知的財産権の保護など幅広い分野が盛り込まれていることから、発効後は日本及びEUの企業に大きな影響を及ぼすことになります。

最近発表された事項

2017年7月の大枠合意時に、関税引下げの概要については公表されました1が、原産地規則については具体的な発表はありませんでした。

しかし、11月2日にアップデートされた外務省経済局発行の「日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート2」では、日欧EPAでは、原産品の累積と生産行為の累積の双方が利用可能な完全累積制度を採用するほか、輸出時の原産地証明書の取得手続きが不要となる自己申告制度を採用することが初めて明記されま した。

加えて、2017年12月8日のEUの発表資料3によれば、7月の大枠合意以降、以下の分野で実務的な議論が行われた模様です。

  • 関税及びサービスの譲許
  • GI(地理的表示)の保護
  • 規制協力
  • 貿易を通じたパリ協定へのコミットメント強化

同資料によれば、投資分野のみ引き続き交渉が継続されるものの、EUは2019年までの協定発効を目指すとしています。しかしながら、EPA締結の可否につき、欧州議会での承認に加えて、EUに排他的権限が与えられている関税以外の分野に関しては、全加盟国の各国により異なる批准手続が必要なることから、EUの思惑通りに発効されるかは不透明な状況です。

求められる企業の対応

2019年にも予定されている日欧EPAやTPP11の発効により、企業は今まで以上にEPAの恩恵を享受できることになります。

一方で、原産地証明の自己申告制度の導入により、手続が簡素化される反面、企業は自ら的確な原産管理を行うことが求められるようになります。加えて、完全累積制度など今まで必ずしも一般的とは言えなかった規定が新たに導入されることから、企業にはより厳格な関税コンプライアンス体制の構築が求められることになります。

また、流動化する英国のEU離脱やNAFTAの再交渉の動向なども踏まえ、激動期にある世界のFTA/EPAを踏まえたグローバルサプライチェーンを構築することが、今後の企業競争力を左右する重要な鍵となります。

EYでは、関税管理体制の構築やFTAデータアナリティクスを含む様々なツールを用いて、複雑化するFTA利用戦略の策定支援を提供しています。これらのメガ協定が実際に発効した際に、複数ある中から最適なFTAを迅速に適用するためにも、事前の準備が肝要となります。


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