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英国政府、新関税法制定に向けた白書を発表
企業等関係者との対話の継続を表明

Japan tax alert 2017年10月18日号

2017年10月9日の下院におけるメイ首相のスピーチを受けて、英国政府は、英国のEU離脱に関しての通商白書及び関税白書を発表しました。

英国は、EUを離脱することでEU共通の関税法が適用されなくなることから、英国独自の新たな関税制度を確立することが求められます。 これに向けた新関税法の原案は 、今秋の終わりには議会に提出されることになります。 また、英国がEUから離脱することで、欧州司法裁判所(Court of Justice of European Union)は英国の関税、VAT、物品税に関して裁判権を失うことになります。

関税白書によれば、離脱を決定した国民投票以降、英政府は国際取引に関わる250以上の企業、港湾関係者その他の組織と会談しており、それら関係者との対話は、効果的な政策の策定及び関税手続きが企業に与える影響をより深く理解するうえで有益であるとしています。

今後さらに意見を聴取していく点

同白書では、今後も企業を初めとした関係者との対話を継続していくとしています。 そのため、意見の送付先としてメールアドレス (CustomsStakeholders@hmtreasury.gsi.gov.uk)を設置し、具体的に以下のような分野について意見を聴取したいとしています。

オペレーション上の影響について

  • 企業がEUサプライチェーンに組み込まれている場合、英国関税体制が独立することでオペレーション上どのような影響を及ぼすか。 現在の部品調達や貿易活動の変更を考慮する必要があるか。
  • 現在提案されている2つのアプローチ: 基本的に英国が独立した関税率及び制度を有するものの、1.高度に円滑化された通関手続きを導入する; 2.EUとの新たな独自の関税パートナーシップを構築すること*に対応するため、どの程度の時間を要するか。

* 詳細は、2017年8月24日付 Japan tax alert、「英国、EU離脱後の関税措置を提案」を参照ください。

国境手続について

  • 円滑な貿易取引を継続するため、英政府はどのようなベストプラクティスを参照すべきか。
  • 交通・貿易を円滑にするため、どのようなテクノロジーを導入すべきか。
  • 運送関係者、港湾関係者等はどのように貿易の円滑化に貢献できるか。

通関業者等の利用について

  • 企業はどのような場合に通関業者等を利用し、その判断は、EU取引又は非EU取引かで異なるか。
  • 通関業者等に依存せず、自社内で、関税法コンプライアンス対応が可能か。
  • 通関業者等によって白書で提案された変更により、どのような機会、あるいはリスクが想定されるか。

コストについて

  • 今回の白書に示された変更が実施された場合、コストは増大するか、また、どのように増大を抑えることができるか。
  • 新たな関税体制の下で予期されるコストを把握するため、外部の専門家を利用するか。また、変更に対応するため、増員、新たなITシステムの導入といった一時的な投資を検討するか。

企業に求められる対応

このように、英政府は新関税法制定にあたり、可能な限り企業等利害関係者の声を反映する姿勢をみせています。 英国のEU離脱によって、自らのビジネスに影響を受ける可能性のある企業は、懸念点について積極的に意見を表明していき、自社にとってより望ましい体制の構築が実現されることを目指すべきと考えられます。

また、英国政府による白書が発表されたことにより、新関税法についての一定の指針が示されたといえ、企業としては想定される変更の内容を踏まえて、自社の具体的な対応についてできるだけ早期に検討を始めることが望ましいといえます。


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