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拡大ITA、日本での施行は2017年5月16日

Japan tax alert 2017年5月17日号

拡大ITAの概要

WTO情報技術協定(ITA)は、情報技術製品(IT機器)の普及のため、IT機器の関税撤廃に合意した通商協定です。 現在82カ国が加盟し、パソコンや携帯電話等の約140品目が対象となっております。

近年の目覚ましい技術革新を背景に、2012年から対象品目拡大に向けた交渉が行われ、2015年にGPS受信機器、液晶パネル用の偏光材料製のシート、半導体ウ エハー製造装置、CTやMRIなどの医療機器等、新たに201品目を加えた「情報技術製品の貿易の拡大に関する宣言(拡大ITA)」が成立しました。 WTOによると、これら201品目の世界貿易額は年間約1.3兆ドル(150兆円)に達し、全世界の貿易額の約10%に相当するとされております。 拡大ITAでは、53の加盟国が、一部のセンシティブ品目を除き、2019年7月1日までに対象品目の関税率を撤廃することに合意しています。

日本における影響

日本でも、2017年5月9日の閣議決定により、2017年5月16日より情報技術製品の貿易の拡大に関する宣言(拡大ITA)で決定されたIT関連製品201品目の関税が撤廃されることになりました。

日本においては、拡大ITAで新たに対象となる201品目のほとんどの関税率が既にゼロであるため、新たに関税が撤廃される品目は下記のみとなります。

品目 従来の税率 2017年5月16日以降の税率
3215.11のうち8443.31、8443.32又は8443.39の機器[注1]に挿入するための形状の固形インキ 3.9% 0% [注2]
3215.19のうち8443.31、8443.32又は8443.39の機器[注1]に挿入するための形状の固形インキ 3.9%
3506.91 ゴム又は39.01項から39.13項までの重合体をもととした接着剤 3.9% 0%
3907.99.090のうち熱可塑性の液晶性芳香族ポリエステル共重合体 3.1% 0% [注2]
5911.90.090の物品及び製品(綿製のものは除く) 2.8% 0%

[注1] プレート、シリンダー、その他の印刷用コンポーネントにより印刷に使用する印刷機以外のプリンター(例:インクジェットプリンター、レーザープリンター、FAXやコピー機能を備えた複合機等)。

[注2] 特定の関税番号に分類される品目のうち一部のみの関税率が引き下げられる場合には、2017年5月16日から適用される実行関税率表には従 来の税率のみが記載されておりますが、条件を満たす品目については5月16日から0%の税率が適用されています。

なお、1997年に発効したITA協定同様、今回の関税撤廃の恩恵は拡大ITA加盟国には限られず、WTOの全加盟国が受けることができます。

今後の展望

日本は対象品目の関税を即時撤廃しましたが、協定上は2019年7月1日までに対象品目の90%の関税撤廃となっています。

拡大ITAには、米国、EU、中国、韓国、タイ、マレーシアなども加盟しており、今後これらの国において、対象品目の関税率が2019年7月1日に向けて段階的に引き下げられていくことにな り、対象品目の輸出企業にとっては市場参入・拡大の大きな機会であると言えます。

加盟国

日本、米国、EU(28カ国)、台湾、韓国、コスタリカ、マレーシア、豪州、カナダ、タイ、ノルウェー、中国、スイス、リヒテンシュタイン、シンガポール、香港、フィリピン、ニュージーラ ンド、イスラエル、モーリシャス、モンテネグロ、グアテマラ、アイスランド、アルバニア、コロンビア

また拡大ITAでは、情報分野での非関税障壁について議論を深めることに加え、今後の技術革新を協定に反映させる形で対象品目を見直すことについて、加盟国間で合意がなされてい ます。


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