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OECDがBEPS行動15における二国間租税条約改定のための多国間協定を発表

Japan tax alert 2016年12月7日号

エグゼクティブサマリー

経済協力開発機構(OECD)は2016年11月24日、税源浸食と利益移転(BEPS) 防止を目指した租税条約関連措置を実施するための多国間協定の本文を公表しました。 同協定の本文及び関連する説明文は、2016年11月21日の週に行われた交渉の終了後、OECDによって主催された式典において約100カ国により正式に採択されました。 多国間協定の本文及び説明文は、OECDのホームページで閲覧できます。

BEPS行動15における多国間協定は、租税条約関連のBEPS措置を可能な限り迅速かつ一貫性のある方法で、既存の二国間・地域租税条約に導入することを目指すOECDの取組みの要となるものです。

通常、多国間協定は5カ国が批准した後に施行されますが、個別の租税条約については、条約に参加する全ての国が多国間協定を批准し、明確性及び法的確実性を確保するための一定の期間が経過した後に適用開始となります。

多国間協定への署名は2016年12月31日より開始されますが、第1回目の高官による調印式は2017年6月5日の週に行われる見通しです。

議論の詳細

背景

OECDは2015年10月5日、BEPS行動計画に基づく「二国間租税条約改定のための多国間協定の策定」 (行動15)に関する最終レポートを発表しました。 本レポートは、全15のBEPS行動計画に関する最終レポートをまとめた最終パッケージの一環として公表されました。

多国間協定は、2015年2月のG20財務大臣・中央銀行総裁会合において合意された枠組みに基づき、 OECD加盟国、G20諸国、その他の先進国・途上国等の100を超える国・地域が1年間にわたる交渉を行って策定されました。

内容

多国間協定は、二国間以上の租税条約を改定する場合に適用されますが、既存の個別の租税条約の内容を直接的に改正する改正議定書と同じ機能を果たすものではありません。 むしろ、既存の租税条約と並行して適用し、BEPS措置を実施するために租税条約の適用に関する改定を行うものです。 その結果、国内の事情により、多国間協定によって改定された対象租税条約の統合版を作成する参加国もありえますが、 多国間協定の適用においてこのことは必須条件ではありません。

多国間協定が対象としている租税条約関連のBEPS措置には、 (1)行動2:ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの効果の無効化、 (2)行動6:租税条約の濫用の防止、 (3)行動7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止、 (4)行動14:紛争解決メカニズムの有効性向上があります。 これらの行動に関連する租税条約の条文内容について、2015年10月に公表されたBEPS最終パッケージに基づく合意がなされました。

多国間協定は、条約の条文内容を変更したり増やしたりするものではなく、 租税条約とBEPS措置を整合させるために、二国間・地域租税条約をどのように改定するかにのみ焦点を置いています。

唯一、条文そのものの策定及び二国間・地域租税条約への導入方法について交渉が行われたのは、 行動14に関する最終レポートにおいて公表された強制的・拘束的仲裁制度に係る条文です。 行動14の最終レポートが取りまとめられた際に、20カ国が自主的に強制的・拘束的仲裁制度を既存の租税条約に取り込む意思を表明しました。 これに関する条文を策定したサブグループには、最終的に27カ国が参加しました。

※本アラートの全文は、下記PDFからご覧ください。


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