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税務弘報 2017年11月号
2018年3月期の対応に向けて ローカルファイル作成の実務ポイント

移転価格部 パートナー 米国公認会計士 西 康之

新移転価格文書化規定の導入

1 事業規模によって異なる移転価格文書化対応

OECD公表のBEPS(税源浸食と利益移転)行動13「移転価格文書化及び国別報告書に係るガイダンス」 (2015年10月)に基づく2016年度税制改正により新たな移転価格文書化制度(3層構造移転価格文書)が導入され(図表1参照)、多国籍企業グループは2017年3月期以降の年度を対象にそれらの対応を行う必要がある。

CbCR(国別報告書)及びMF(マスターファイル)は2016年4月1日以降に開始する最終親会社の会計年度、LF(ローカルファイル)は2017年4月1日以降に開始する事業年度からそれぞれ適用される。

図表1:多国籍企業グループが作成する移転価格文書

3層構造移転価格文書 概要
国別報告書(CbCR(Country-by-
Country Reporting):国別報告事項)
多国籍企業グループの各国別の活動状況、利益配分状況、納税状況等に関する情報
マスターファイル(MF(Master File):事業概況報告事項) 多国籍企業グループの事業活動の全体像(サプライチェーン等)、移転価格ポリシー等に関する情報
ローカルファイル( LF(Local File):独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類) 国外関連取引に関する事実分析、機能・リスク・資産分析、当該取引の実績値が独立企業間価格で行われたことを示す経済分析等に関する情報

CbCR及びMFは、直前の最終親会社の会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループが適用対象となる。 一方、LFは、連結総収入金額に関係なく、直前の事業年度の内国法人が行う一の国外関連者との取引金額が50億円以上又は無形資産取引金額が3億円以上の国外関連取引(同時文書化対象取引)を対象に同時文書化義務(税務申告期限までの作成・保存)が適用され、これに該当しない国外関連取引(同時文書化免除取引)もLFに相当する書類等の作成・保存の検討が必要となる。

本稿では、次のような点を踏まえLFの作成に焦点を絞り、作成上の検討事項や留意事項を取りまとめている。

  1. 連結総収入金額1,000億円未満の多国籍企業グループも含め多くの企業でLFの作成が必要であること
  2. 原則、「一の調査」として移転価格調査と一般法人税調査が同時に行われるため、税務調査時にLFの提示又は提出を求められる可能性が高まる傾向にあること

※本専門雑誌への掲載記事の全文は、PDFでご覧いただけます。


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