EY税理士法人
ライブラリー

国際税務 2017年11月5日号:
TP Controversy Report ローカルファイルの同時文書化による調査、争訟への影響<3>

移転価格部 佐藤 雅弘、白樫 恵(監修: EY TP Controversy Team)

はじめに

OECDのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告(行動13「多国籍企業情報の文書化」)に基づき、わが国においても、平成28年度税制改正により、国別報告事項(CbCレポート)及び事業概況報告事項(マスターファイル)に係る作成・提出義務に加え、「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)」の確定申告時までに作成を求める同時文書化の義務を課す制度が導入されました。本稿では、これらの制度のうち、特に影響が大きいと考えられるローカルファイルの同時文書化制度(以下「同時文書化」と言います。)の調査、争訟への影響に焦点を当てたいと思います。

改正前の移転価格税制では、移転価格調査において税務当局が提示又は提出を求める書類が租税特別措置法施行規則第22条の10に規定されていました。 当該書類の内容は、今回導入された同時文書化において求められている内容とほぼ同様のものです。 このため、制度の導入前から実質的な文書化制度として認識されてはいましたが、義務ではなかったため、法人としては必ずしも当該書類を作成するには至っていない状態であったと思われます。

今回、導入された同時文書化により、免除規定に該当しない国外関連取引については、ローカルファイルが予め調査時点で準備されていることになります。 これは、税務当局としては、調査の冒頭で、文書化対象の国外関連取引について、独立企業間価格が算定された上で国外関連取引の移転価格が適正であったことを筋道立てて説明する、納税者自らが作成した文書を入手することができることを意味します。 このため、今回の同時文書化の導入が契機となって、移転価格調査が従前のものから大きく変容し、さらには争訟における税務当局及び法人双方の訴訟戦略にも大きな影響を与えることが考えられます。

※下記詳細を含め、本専門雑誌への掲載記事の全文は、PDFでご覧いただけます。

  • 移転価格調査の変容
  • 争訟に与える影響
  • おわりに

国際税務 11月5日号の寄稿記事をPDFでDownload

(196KB)