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国際税務 2017年10月5日号:
新連載 TP Controversy Report活用される日印BAPAと残された課題<2>

移転価格部 別所 徹弥(監修: EY TP Controversy Team)

はじめに

インドは、1991年の経済自由化以降、著しい経済成長を続けてきました。 日印間では、包括的経済連携協定が2011年2月16日に署名されたことにより、大半の関税が10年間で撤廃されるなど、日印両首脳の良好な関係の下、さらなる経済関係が強まることが期待されています。 このような状況の中、インド政府は、海外からの投資を促進すべく、日印社会保障協定や物品サービス税(GST)のほか、移転価格税制に係る関連規定や制度について整備を進めており、APA制度の整備もその一環です。

1. APAの制度化とその活用

2012年8月31日に、インドにおけるAPA( 事前確認:Advance Pricing Agreement)制度のガイドラインがCBDT(直接税中央委員会:Central Board of Direct Taxes)より公布されました。APAの対象期間は最長で5年で、当初、過去の年度に遡ってAPAを適用するロールバックの規定はありませんでしたが、2014年10月1日より、過去4年間の遡及適用が認められることとなり、その利便性は飛躍的に高まりました。 インドの国内法では、日本と同様に、移転価格税制の下では所得の減算調整を認めていないところから、相互協議の場で、当初はインドにおいてAPAの減算調整を認めないとの主張がなされたようですが、最終的には租税条約を適用すると整理され、減算調整は認められた模様です。

2014年12月19日、CBDTは、インド政府が初のBAPA(二国間事前確認:Bilateral Advance Pricing Agreement)を締結したと発表しました。 当該BAPAは、日本の総合商社にかかるもので、「見解の相違で多額の追徴課税を受けるリスクを避けることができる。 今後も日本の企業の申請や承認が相次ぎ、インド投資に弾みがつきそうだ」と新聞報道されたことは、耳目に新しいところです。

その後もインドにおけるAPA制度は順調に推移し、2017年5月1日にインドで公表されたAPA年次報告書によれば、2017年3月31日までに815件(そのうちBAPAは109件)のAPAが申請され、152件のAPAが締結されています。 APAの締結までの期間は、ユニラテラルにあっては29カ月、二国間にあっては39カ月となっています。 BAPAの申請は、米国が一番多く、英国、日本、スイスの順となっています。

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