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国際税務 2017年4月5日号:
BEPS後の移転価格対応に残された重い課題への対応

パートナー 森 信夫

移転価格税制の対応において、ここ2-3年はBEPS文書化対応に大きな関心が集まり、程度の差こそあれ、日系企業の対応も大きく進んだ。マスターファイル、国別報告書、ローカルファイルのいわゆる三層構造への対応、また従来の現地任せから舵を切って本社主導の対応が進められ、マスターファイルや国別報告書の試作版も準備されている企業が多い。最終的にどの詳細度のマスターファイルを提出するか、他の書類とローカルファイルとの内容の整合性をどうとるか、翌年以降の対応をいかに効率的に進めるか、など、まだまだいくつかの課題はあるものの、かなりの程度の準備は進んでいると考えることができる。

いうまでもなく、BEPS対応文書化は、企業に新たなレベルの移転価格コンプライアンスを求めるものであり、税務当局とのまた税務当局間で共有される情報も、従来に比べれば大きく増加することになる。一部の税務当局では取引レベルの情報収集を可能にする体制準備を進めているといわれ、企業にとっての「透明性」への対応は、時間の問題になってきている。

BEPS対応で大きな成果をあげている企業も含めて、実務で未だに重い課題となっているのが、移転価格目的のいわゆる「切り出し損益」の作成、提出である。BEPS文書化で要求される他の情報については、既に社内で入手可能な情報がほとんどであり、それをどのように収集して文書に落とし込むかということが課題であった。ところが、(議論の余地はあるが)必要な「切り出し損益」については、そもそも企業で準備していないケースがほとんどであり、本当に提出が必要なのか、という点も含めて難しい論点を提供していると思われる。本稿では、法的な議論はさておき、実務的な観点から、どのような論点と対応が考えられるかを整理してみたい。

日本側ローカルファイルでは、求められる事項として、租税特別措置法施行規則22条の10の「法第六十六条の四第一項に規定する国外関連取引(以下この項において「国外関連取引」という。)の内容を記載した書類として次に掲げる書類」のうち、「へ、法第六十六条の四第六項の法人及び当該法人に係る国外関連者の当該国外関連取引に係る損益の明細を記載した書類」が該当すると考えられている。

中国においてもローカルファイルでいわゆるバリューチェーンのデータが求められることになっており、他国でもこのような要求が出てくる可能性を考えると、今後の移転価格対応のなかで、切り出し損益の議論は避けては通れないものになってくると考えられる。

※下記項目については、PDFから詳細をご覧ください。

  • 切り出し損益作成の高いハードル
  • 切り出し損益の分析で何を達成するのか?
  • 当局が切り出し損益を要求する背景
  • 着地点の発見にむけて

※本専門雑誌への掲載記事の全文は、PDFでご覧いただけます。


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