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国際税務 2015年11月5日号:
中国移転価格税制

特別納税調整実施弁法(パブリックコメント募集案)改正のポイント1

9月17日、国家税務総局は、《特別納税調整実施弁法》(国税発[2009]2号)(以下、「2号通達」)の改正につき、16章168条にわたるパブリックコメント募集案(以下、「募集案」)を公布した。(投稿期限は2015年10月16日)2号通達は、移転価格税制、コストシェアリング協議、タックスヘイブン対策税制、過少資本税制及び一般的租税回避防止等にかかわる中国の中心的な規定である。

今回の募集案は正式に施行が決定された最終版ではなく、詳細については今後の決定を待たなければならない。ただし、国家税務総局より一般に公布された位置づけを踏まえると、抜本的な変更は期待できず、中国税務機関の国際租税に対する方針とみなすことができ、今後の対策を準備する土台として有効である。

2号通達の改正は、中国もG20メンバー国として積極的に参画してきたOECD/G20『税源侵食と利益移転』(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクト(以下、「BEPSプロジェクト」)に対応するための国内法整備の一環である。そのため、募集案が、BEPSプロジェクトにおける問題意識や議論を踏まえて作成されたことは明らかである。しかしながら、その一方で、OECD加盟国がBEPSプロジェクトに対応することを見越して、さらにこれに対峙するために、可能な範囲でBEPSプロジェクトの成果物に真っ向からは反しない表現をとりつつも、中国が課税権を守りやすい方法を模索し、また、その立場を主張しようとする条文も見られる。

さらに、募集案における改正点は、BEPSプロジェクトを意識した対応のみならず、現行の2号通達の表現をより中国の現行の実務取扱いに合わせた部分も多い。税務機関にとって、これらの改正点の多くは、規定を超越した課税実務がなされたとの企業の批判をかわすことに役立つかもしれないが、その一方、企業の負担増につながりかねない。

なお、現時点において、施行日は空欄となっており、明確にされていない。中国においては、現行の2号通達が2009年1月8日に公布され、2008年1月1日から施行されたことを考慮すると、施行開始年度について油断はできない。ただし、募集案には国別報告書の義務にかかる条文が含まれており、BEPSプロジェクトアクションプラン13《移転価格文書と国別報告書の実施ガイダンス》(2015年10月5日)により、最初の国別報告書の導入時期が2016年1月1日以降に開始する事業年度とされていることを鑑みると、改正後の2号通達も2016年12月期以降から施行されると見ることが自然ではある。

本稿においては、募集案のうち、特に、日系企業に大きな影響を与える移転価格税制を中心に、改正点を紹介する。

I. 関連者と関連者間取引の定義
II. 同時文書
III. グループ内役務
IV. コストシェアリング協議
V. 過少資本税制
VI. 無形資産
VI. 地域性特殊要因
VII. 地域性特殊要因

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