EY税理士法人
FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)
CRS(共通報告基準)

FATCAに関する米国政府監査院(GAO)による報告書

2019.04.18

米国政府監査院(Government Accountability Office、以下「GAO」)は、2010年に法制化されたFATCAに関し、その運用状況、さらに、米国外に居住する米国市民への影響を取りまとめた報告書を公表しました。
今般の調査は、関連データの分析やIRS・連邦政府機関・税務専門家・米国市民などの関係者からのインタビューによる方法で実施されています。

本報告書では、米国の納税者が報告する米国外資産の情報が、米国財務省内のIRS(内国歳入庁)およびFinCEN(金融犯罪捜査網)の両機関に対して、重複して行われている点が指摘されています。
現状、これら法令遵守のため、納税者に過度な負荷が生じており、金融犯罪の防止のためFATCAにより収集した情報を活用可能にすることで、重複した報告を回避できるよう法令の見直しについて提言がなされています。
ご参考までに米国の納税者が提出する米国外資産に係る情報申告書を以下にご案内します。

様式8938 "Statement of Specified Foreign Financial Assets":
一定の米国外金融資産(Specified Foreign Financial Asset)を保有する米国(法)人は、それらの資産価額をIRS宛てに報告することが求められています。本様式による特定外国金融資産の開示義務は、IRSが定める歴年末における保有資産の価額により判定する必要があります。開示漏れによるペナルティは最低1万ドルとなります。

様式FinCEN 114 "Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR)":
米国外に金融口座を有する米国(法)人は、口座残高(複数口座を有する場合は合算後)が暦年中に1万ドルを超える場合、 すべての口座情報を本様式にて、米国財務省宛てに報告を行う必要があります。
前述の様式8938においても、同様の情報を報告することが求められており、重複した情報が提出されています。

また、米国外の金融機関(Foreign Financial Institution、FFI)よりIRS宛てに提出された情報と納税者が提出した申告書上の情報との照合が十分に実施できておらず、情報の質及び管理上に問題があることに言及しています。特に、FFIから報告された金融口座保有者の納税者番号が未報告または不正確であることが報告されています。

さらに、FATCA導入以降、FFIによる米国人の保有する口座の閉鎖や新規口座の開設を謝絶する事例があったことが報告されています。国務省のデータによれば、2011年から2016年にかけて、米国市民権の放棄が年間1,601件から4,449件に増加しており、一部がFATCAを起因とするものと指摘しています。

本報告書が、日本の金融機関の実務に直接、影響を与えることはありませんが、FATCAにおける上記の点を含め、7つの改善提言が行われており、これを受けたIRS等の動向に留意が必要と考えられます。

報告書は、下記の米国政府監査院(GAO)ウェブサイトをご覧ください。